
沖縄は今でこそ鉄路のない日本で唯一の県であるが、戦前には沖縄県営鉄道という軽便鉄道が走っていた。那覇駅(現在の那覇バスターミナル)を起点に本島東岸に向かう与那原線、北に向かう嘉手納線、南に向かう糸満線の3路線があり、最盛期にはそれぞれの路線で一日16往復も運転されていたそうだ。しかし、太平洋戦争が開戦して戦火が激しくなる45/3月には運行を休止し、その後の沖縄戦で設備は完全に破壊された。さらに、戦後は鉄道用地だけでなく、レールまでもが米軍に接収されるなどし、運行再開することなく廃線となった。さて、それから年月が経ち、戦後70年の15/10月、
再開発工事中の那覇バスターミナルからかつての那覇駅にあった転車台の跡が出土した。普段は工事現場ということもあり、フェンスやブルーシートに覆われて跡を見ることはできないが、16/3月には見学会が開催。見学会当日は多くの地元の方々でにぎわい、沖縄県民の鉄路への関心の高さをうかがい知ることができた(恐らく現在計画策定中の沖縄鉄軌道プロジェクトの影響だと思われる)。なお、この転車台は再開発工事に伴って一度撤去されるが、別場所で保存・常時公開がなされるとのことだ。

▲写真の転車台がこの度出土したもの(戦後直後に撮影)。